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気の巡り

漢方医学では、人体は気・血・水でできているとされています。

実はもともと中国では気血とされていましたが、水の概念を加えたのは日本の医師です。

日本は湿度が高いためと聞いています。

人体を場と捉え、気・血・水がどのように動いているのかをみることができれば、

どこの何をどうすればよいかを考えて、薬を決めるということがあります。

では、例えば抑うつの病態は何か…漢方医学で言えば気の滞りと考えると理解しやすいかもしれません。

胸脇苦満とは、肋骨の下、つまり上腹部や脇腹が張って硬くなることを指しますが、

それは、気がそこに滞っていると考えられます。

中医学でいうところの疎肝作用がうまく働かず、そのようになると考えられています。

そこで活躍するのが柴胡剤。抑肝散もその一つです。

「場」の考え方としては、三焦の概念というのがありますが、

ちょうど上焦と中焦の境の部分にあたります。

落ち込んで背中を丸くする姿勢では、胸と腹の境目あたりに若干圧力がかかるのがわかります。

そういった姿はわかりやすいでしょう、と習いたての頃に教えられました。

腑に落ちて、昔の人は良く観察していたのだなと感心したのを覚えています。

その境に気の滞りはよくおこり、気が滞ると、その性質や働きのために、

血・水の流れも滞りやすくなると考えられます。

いらいらする人もいれば、頭が痛いと感じる人もいます。

熱や冷えの現象を考えてみると、冷えのぼせなども説明がつきます。

気の滞りは様々な症状をおこすというのが、何となくイメージがつきますでしょうか。

体操をしたり、姿勢を良くするよう意識したり、そういう何気ないことですっきりしたと感じられるのは、

この滞りがとれて流れが良くなったからかもしれません。